「袋に入れない袋」をつくる。ラップルバッグ開発ストーリー
商品を中央に置き、左右の手穴を引き上げる。
たったそれだけで、商品が自然に包み込まれる。
袋の口を開き、商品を持ち上げ、袋の中へ慎重に入れる必要はありません。
この一見シンプルな「袋に入れない袋」が完成するまでには、社会の変化に対する危機感、「入れる」から「包む」への発想転換、そして工場を巻き込んだ数多くの試行錯誤がありました。
今回は、モロフジ株式会社が開発した特許製品「ラップルバッグ」が誕生するまでの物語をご紹介します。
「袋詰め」は、本当に必要な作業なのか
商品を持ち帰るとき、私たちは当たり前のように袋を使います。
袋の口を開き、商品を持ち上げ、袋の中に入れる。
軽くて小さな商品であれば、それほど難しい作業ではありません。しかし、お弁当や丼物、ケーキ、寿司、オードブルなど、傾けたくない商品を袋に入れる作業には、想像以上に手間がかかります。
片手で袋の口を広げ、もう片方の手で商品を持ち上げる。袋の中で商品が傾かないように、底まで慎重に下ろす。
商品が大きくなるほど、袋詰めは難しくなります。混雑する時間帯には、一つひとつの小さな作業が、店舗スタッフの負担やお客様の待ち時間につながります。
そこで私たちは考えました。
「袋詰めは、本当に必要な作業なのだろうか」
この疑問が、ラップルバッグ開発の出発点になりました。
コロナ禍で変わった、持ち帰りの現場
新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの暮らしや買い物の方法は大きく変わりました。
外出や人との接触が制限される一方で、飲食店ではテイクアウトやデリバリーの利用が急増しました。
持ち帰る商品が増えれば、それを包む作業も増えます。店舗では、包装作業の効率化だけでなく、できるだけ商品に触れずに受け渡すことも求められるようになりました。
一方、社会の変化によって、モロフジが従来販売してきた持ち帰り用袋の需要や、お客様が袋に求める機能も大きく変わり始めました。
このまま、これまでと同じ袋をつくり続けるだけでよいのか。
変化した社会の中で、本当に必要とされる新しい袋をつくらなければならない。
そんな危機感から、私たちはテイクアウトやデリバリーの現場が抱える課題を、改めて見つめ直しました。
課題は、すでに市場に落ちていた
私たちは、持ち帰り用の袋について、いくつもの疑問を出し合いました。
なぜ、持ち帰りにはレジ袋を使うのか。
なぜ、商品を袋の中に入れなければならないのか。
もっと簡単に商品を包装できないだろうか。
商品にできるだけ触れずに、包むことはできないだろうか。
袋詰めにかかる時間を短縮し、レジ周りの作業を簡単にできないだろうか。
解決すべき課題は、新しく探し出すまでもありませんでした。
店舗や利用者が日々感じている、小さな不便の中にすでに存在していたのです。
あとは、その課題と正面から向き合い、考え抜くだけでした。
営業、開発、工場。それぞれの立場から、メンバー全員がアイデアを出し合いました。
ヒントになった日本の「風呂敷」
議論を重ねる中で、私たちは、それまで当たり前だと思っていた考え方を疑い始めました。
そもそも、商品は本当に「袋の中に入れる」必要があるのだろうか。
そこでヒントになったのが、日本で古くから使われてきた「風呂敷」です。
風呂敷は、袋の中に物を入れるのではありません。広げた布の上に物を置き、その周囲を包み込むことで、さまざまな形や大きさの物を持ち運べるようにします。
「袋に入れる」のではなく、「下から包む」。
袋を先に広げ、その上に商品を置き、持ち手を引き上げるだけで包装できないだろうか。
「入れる」という概念を一度取り払い、「包む」という発想に変えたところから、ラップルバッグの形が見え始めました。
紙とハサミから始まった試作品づくり
最初からポリエチレン製の試作品をつくったわけではありません。
開発は、紙とハサミを使った手作業から始まりました。
紙を切り、貼り合わせ、折り紙を折るように、さまざまな形を試しました。
どのような形なら商品を置きやすいのか。
どこに手穴を設ければ、自然に持ち上げられるのか。
持ち手を引き上げたとき、どうすれば商品全体を包み込めるのか。
持ち運ぶ途中で形が崩れず、商品を安定させられるのか。
メンバーから出されたアイデアを一つずつ形にし、実際に商品を置いては持ち上げ、また形を変える。
その作業を何度も繰り返しました。
少しずつ、ラップルバッグの原型ができ上がっていきました。
「つくりたい形」と「機械でつくれる形」の壁
紙で理想の形をつくることができても、それをポリエチレン製品として量産できなければ、商品にはなりません。
次に私たちが直面したのは、「つくりたい形」と「実際に機械でつくれる形」との間にある大きな壁でした。
ラップルバッグは、従来のレジ袋とは構造も製造方法も異なります。
紙でつくった試作品に近い形を、どのようにポリエチレンで再現するのか。安定して製造するためには、どこを改良すればよいのか。
開発側から工場へ、これまでにない難しい要望を出しました。
工場のメンバーも、その要望に応えようと必死に考えました。
製造方法を見直し、機械にも改造を加え、試作と調整を繰り返しました。
営業や開発のアイデアと、工場が持つ製造技術。その両方が一体になったことで、紙でつくった試作品は、少しずつ実際の製品へ近づいていきました。
そしてついに、機械で製造できるポリエチレン製の試作品が完成しました。
お弁当が一瞬で包まれた日
完成したサンプルが届いた日、メンバー全員で集まり、実際にお弁当を使って試すことにしました。
試作品を広げ、その中央にお弁当を置く。
左右の手穴を持ち、上へ引き上げる。
その瞬間、心地よい音とともに、お弁当が一瞬で包み込まれました。
袋の口を開く必要はありません。
お弁当を持ち上げ、袋の中に入れる必要もありません。
商品を置き、持ち手を引き上げるだけで、自然に包装が完了しました。
「できた」
紙を切り貼りするところから始まったアイデアが、開発メンバーと工場の知恵、技術、そして諦めずに試作を続けた執念によって、一つの製品になった瞬間でした。
私たちは、この新しい包装袋を「ラップルバッグ」と名付けました。
「置いて、引き上げるだけ」のラップルバッグ
ラップルバッグの使い方は、とてもシンプルです。
1.広げたラップルバッグの中央に商品を置きます。
2.左右の手穴を持ちます。
3.手穴を垂直に引き上げます。
4.商品が自然に包み込まれ、そのまま持ち帰れます。
これまでのように、袋の口を開いて商品を中に入れる作業は必要ありません。
「商品を袋に入れる」のではなく、「商品を下から包み込む」。
この発想によって、レジ周りの作業を大幅に簡略化できます。

特許技術で実現した「袋に入れない袋」
ラップルバッグの独自構造と製造方法は、「包装袋及び包装袋の製造方法」として、モロフジ株式会社が国内特許を取得しています。
「商品を袋に入れる」という従来の包装方法を見直し、商品を中央に置いて持ち手を引き上げるだけで自然に包み込める構造を、独自の設計と製造技術によって実現しました。
【特許情報】
発明の名称:包装袋及び包装袋の製造方法
出願番号:特願 2022-083056
出願日:2022 年 5 月 20 日
公開番号:特開 2023-170938
登録番号:特許第 7148194 号
特許権者:モロフジ株式会社
現在の状態:特許有効
ケーキ、お弁当、花まで広がる可能性
ラップルバッグは、特に傾けたくない商品や、一般的なレジ袋には入れにくい商品に適しています。
たとえば、カットケーキやホールケーキ。
ピザ、寿司、オードブルなど、平たく大きな商品。
お弁当、丼物、汁物など、持ち運ぶときの安定性が必要な商品。
さらに、フラワーアレンジメントや鉢植えなど、形状が特殊で袋に入れにくい商品にも活用できます。
商品を上から袋に入れる必要がないため、商品の形や盛り付けを崩しにくく、包装作業の負担軽減にもつながります。
現在想定している用途だけでなく、お客様の現場には、私たちがまだ気づいていない使い方があるかもしれません。
ラップルバッグは、さまざまな業界や商品の持ち帰り方を変える可能性を持った包装袋です。
一枚の袋から、持ち帰りの風景を変えていく
ラップルバッグの開発は、単に形の変わった袋をつくる取り組みではありませんでした。
「袋に商品を入れる」という、これまでの当たり前を見直す挑戦でした。
現場にある小さな不便を見つけ、それを新しい発想と製造技術で解決する。
包装にかかる時間を短縮し、店舗スタッフの作業負担を軽減する。そして、お客様が商品をより安全に、安心して持ち帰れるようにする。
一枚の袋でも、できることはまだたくさんあります。
私たちモロフジは、これからも包装資材メーカーとして、現場の声に耳を傾け、包装の新しい可能性を形にしていきます。
ラップルバッグに関するお問い合わせ
ラップルバッグのサンプル、サイズ、材質、印刷、導入方法など、お気軽にお問い合わせください。
実際に包装する商品や店舗の作業環境を伺いながら、最適な使い方をご提案します。
ラップルバッグと一緒に、「袋詰めの当たり前」を変えてみませんか。